17/05/2006

「文學ト云フ事」の想い出

 10年ほど昔の話。
 かって『文學ト云フ事』という深夜番組があった。
 週一のペースで、近代日本文学の名作を取り上げるという内容だった。

 作品の詳細を解説するというよりは、映画の予告編的な作りで、作品の入り口、流される映像に関心を抱けば本を読もううねって感じの作りだった。近代日本文学への扉だった。
 番組のオープニングとエンディングに流された文学少女チックな井出薫さんの美しさは今でも記憶に鮮やかだ。
  作品の全てが恋に結び付けられて、紹介されるという強引な手法になんだかなぁ・・・という思いを抱いたものの、僕自身画面の中の井出さんに恋心を抱いていたんだろう、毎週欠かさず観ていたと思う。
 夏目漱石の『夢十夜』が恋愛の側面からだけ描かれたときは、「今こそ臍で湯が沸かせる」と錯覚してしまうぐらい可笑しかった。

 日本の近代文学は恋愛とは切り離せない、というか近代文学が恋愛を発明・発見したとも言える。
 なんだか、なんだかその恋愛の描かれ方が変容したように思う。例えば、『世界の中心で愛を叫ぶ』が「純愛」のレッテルを張られるのに、違和感を感じてしまう。

 当時は恋からのアプローチは一面的だと感じたけど、そっち方面からのアプローチでいいから文學に学校で触れる機会ってモンを増やすべきでないかと思うしだいで・・・

 ブッキッシュな欲望を抱くのは、本に触れていない人間だからね。

 そんな番組は深夜枠でも作れなくなったのかね。
 たまたま、中高校生向けの国語(現国)の教科書をみて、そんな想いを抱いたわけで・・・

 それにしても、井出薫さんは美しかったなぁ・・・
 

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