13/03/2009

この問題…

 この問題には、触れるのはどうかなぁって思っていたので・・・。とりあえず、メモ程度に。
 僕の基本的スタンスは、万人に移動の自由があるって夢想に縋り付きたいってこと。そうすれば、亡命や移民や、更には難民って概念が死滅するだろうに。

社説:カルデロンさん 親子在留を許すべきケースだ (毎日.jp)

 強制退去処分を受けた日本生まれのフィリピン人、カルデロンのり子さんと母親サラさんの仮放免期限が16日に迫った。先に父親アランさんを強制収容した東京入国管理局は、「両親が自主的に帰国する意思を表明すればのり子さんの在留を認め、表明しなければ3人とも強制送還する」と通知している。入管当局なりの妥協案かもしれないが、脅しとも映る対応を潔しとしない。諸事情を勘案し、一家に在留特別許可を与えるべきケースではないか。
 アランさん夫妻は出稼ぎのため、92、93年に相次いで他人名義のパスポートで来日。結婚して、95年にのり子さんを授かった。アランさんは内装解体工として働き、今では後輩を指導する立場だ。所得税、住民税を納めてもきた。のり子さんは埼玉県蕨市の市立中1年生。明るく、音楽部の活動にも熱心で、たくさんの友だちに囲まれている。
 一家が地域社会に受け入れられている様子は、蕨市議会が在留特別許可を求める意見書を採択し、2万人を超す住民らが法務省への嘆願書に署名したことでも明らかだ。一家が引き続き滞在することが、社会に害を及ぼすとは考えにくい。逆に、一家が強制送還されれば、日本語教育を受けてきたのり子さんは言葉と文化の壁に直面する。
 出入国管理は厳正に行われるべきだ。が、実務上あいまいな面もあり、毎年1万人近くが日本人の配偶者となったことなどを理由に在留特別許可を受けてもいる。単純労働は認められないのに、実際には来日外国人の労働力を当てにしている職場が少なくない。不法滞在の取り締まりを徹底する態勢が整っているとも言いがたい。のり子さんが教育を受けてきたのも、行政が不法滞在を容認していたからだとも解釈できる。
 一家のように犯罪集団などと無縁に勤労、就学を続ける来日外国人については、不法入国・滞在をいつまでも問題視せず、一定のルールを作って正規に受け入れるべきではないか。国際化時代の社会の要請にも合致しよう。真実の権利関係と違っても一定期間継続した事実があれば、法律効果を認める民法の時効の考え方を援用すればいい。善良な市民として長年居住する来日外国人は、在留を認められてしかるべきだ。
 法務省入管局長が81年、衆院法務委員会の答弁で長期滞在について人道的配慮から特別に在留を許可する方向を示唆したことも想起したい。ヨーロッパの国々が、一定期間居住した外国人に在留許可を与える法制度を設けていることも参考にしたい。
 今回、入管当局が「両親の意思表明」にこだわるのは、子どもの権利条約に反して親子を引き裂きたくないからだろうが、同条約が掲げる子どもの利益を最優先とする原則こそ尊重されるべきは言うまでもない。


 騒ぎたいのは、どっかの「祭り」ってのと実質変わらんなぁだとか思ったりもして、

【主張】フィリピン人一家 同情と法の運用は別問題 (産経ニュース@msn)
2009.3.13 02:57
 不法入国のため、国外への強制退去処分を受けた埼玉県蕨市のフィリピン人中学生、カルデロン・のり子さんと両親の一家3人の最終的ともいえる処分の期限が迫ってきている。
 法務省東京入国管理局は、両親が入国管理法違反で日本に不正に入国した以上、法律を曲げるわけにはいかないとして、一家の日本滞在期限を今月16日までと通告した。一家がこれを拒めば17日にも強制送還される。
 のり子さんの母は平成4年に、父は翌年にそれぞれ他人名義のパスポートを使って来日した。のり子さんは7年に生まれ、地元の小学校を経て今は中学1年生で、日本語しか話せない。
 日本人として育てられたのり子さんに衝撃が走ったのは18年7月、小学5年生の時だった。
 母親が買い物途中に警官の職務質問を受けて逮捕され、裁判でも執行猶予付きの有罪となった。一家は強制退去処分の取り消しを求める訴訟を起こしたが、裁判所はこれを認めず、昨年9月に最高裁で一家の退去処分が確定した。
 その後、一家は再三にわたり、在留の特別許可を東京入管に申請している。そのつど、同入管は、のり子さんが日本育ちであることなど、人道的な面を考慮して、申請のたびに1カ月程度の短期間の滞在許可を出してきた。
 異例の措置を取ってきたわけだが、法務省は13日までに両親が自主的に帰国する意思を示さなければ、17日に家族全員を強制送還すると通知した。その一方で、森英介法相は、のり子さんのみの在留を認め、両親はいったん帰国し、日本に1人で残ったのり子さんに会うために短期間の再入国許可を出すと表明するなど、最大限の配慮も見せている。
 のり子さんは「3人一緒に日本に残りたい」と涙ながらに訴える。その気持ちは、痛いほど理解できる。同情もしたい。のり子さんには何の責任もない。
 しかし、両親は偽造旅券という悪質な手口で入国した。日本に不法入国する外国人は、年間約11万人いるといわれる。年々減少はしているが、日本は欧米に比べまだまだ、入国管理が緩やかだとする指摘もある。
 温情を優先するあまり、あしき前例をつくるのはまた問題だ。違法を見逃した場合、それがアリの一穴となり犯罪を呼び込むことにもなりかねない。


 右の人のいう守るべき日本的なものに、「情」ってモノは含まれてないのかい?彼らは何を守ろうとしてるんだろうね。

社説2 一家の在留に首相の決断を(3/13) (日経ネット)
 これは政治決断が必要なケースである。不法滞在で東京入国管理局から強制退去処分を受けた埼玉県蕨市のフィリピン人一家が、家族そろって日本にとどまりたいと在留特別許可を求めている問題だ。
 埼玉県蕨市に暮らす会社員、カルデロン・アランさんと妻のサラさんは1990年代に他人名義の旅券で入国し、娘ののり子さんをもうけた。のり子さんは同市内の中学1年生で13歳。フィリピンに渡ったこともないし、日本語しか話せない。
 一家に対する強制退去処分は裁判で確定している。東京入管は(1)両親が自主的に出国するならのり子さんだけは在留を認める(2)自主的に出国しない場合は一家を強制送還する――と通告し、今週初め、まずアランさんを施設に収容した。
 入管当局はきょう13日を回答期限としているが、両親にとって13歳の娘を残した出国はつらい選択だ。このままだと母子も収容され、17日に送還される可能性がある。
 たしかに不法滞在者には厳格な対応が欠かせない。しかしこの一家の場合、両親は地域社会に溶け込んで平穏に暮らしてきた。のり子さんもすっかり日本人として育ち、級友に囲まれて学校生活を送っている。
 過去には中学生になった子どもを持つ家族には在留を認めた例もある。しかし法務省や入管当局は、一家に退去命令が出たのがのり子さんの中学入学前だから特別扱いはできないという。前例に固執した、あまりにもかたくなな姿勢ではないか。
 欧州諸国などでは、不法滞在でも平穏に過ごして子どもを育てている場合は柔軟に対応している。それだけに今回の問題には海外メディアも関心を示し、国連の人権理事会が調査を進めるなど国際社会も注目していることを忘れてはならない。
 不法滞在の取り締まりと例外との兼ね合いは難しいテーマだ。制度改革や運用の改善は今後の課題だが、今回はまず人道的な立場から一家の在留を許可すべきである。これを認めたからといって、入管行政の根本が揺らぐわけではないだろう。
 もう時間がない。ここは政治家の出番である。森英介法相、そして麻生太郎首相は一家が日本に残れるよう決断を下してほしい。


 欧州の例を引いているけど、僕の記憶の隅にあったフランスの例では、地域が国家に対抗する形であったなぁ。この家族の背後に弁護士が付いているんだろうけど、その点では、弁護士の戦略のミスを感じる…というか、彼らにはマスコミを動かして、事態を浪花節にする以外の思考回路を持ち合わせていないことは、知ってるんだけど。

 この問題は大々的に公表して「首相の決断を!」だなんてしてみたり、ましてや、中学生の一少女にテレビカメラの前で、アピールさせるような問題でなかったってこと。「うつくしき国」を守るために情の部分を忘れ去って騒いでる右の人なんて言わずもがな。

 法の穴を突いて騒ぎになる前に処理し切れなかった「支援者」は無能だし、態々陽に当てることでなんだか別の思惑を満たそうとしたんじゃって下衆な勘繰りをしたくなる。

 話題のためのだけの話題で盛り上がることができた人たちは、次のネタを探すのに勤しんでいるんだろうなぁ。

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