最近の学習マンガは面白くないって数年前にある評論家が言ってたけど、僕もその考えに同意した。学習マンガを否定しているんじゃない。ぼくだっアホだった小学生時代には小学館の日本の歴史シリーズや学研の学習マンガたちの御世話になったしそれらが「扉」になって歴史や科学に関する読書の習慣を身につけていったもんだから。なんで面白くないのかなぁって話になった時、よくは分からないけど描く人と編集担当の教養の問題かなぁだなんてことでその場の話は落ち着いたんだけど・・・。
で、有名な「マンガで読破シリーズ」(イースト=プレス)だけど、「資本論 まんがで読破」があるってんで読んでみたんだけど、なんとも微妙な一冊だった。おそらく僕は「続・資本論 まんがで読破」を手にするのはずっと後のことになるだろう、と言うか読むことは無いかもしれない。
出来不出来はともかくとして、資本論の解説に徹するのではなく、全編物語でストーリーに乗せて「資本論」のエッセンスやキーワードを挿入していく。この試みは「資本論」を漫画化するにあたっては妥当だと言えるんだけど、この試みはマルクスの「資本論」の紹介としては失敗に終わってる。
例えば、物語中では「労働力の価値」と「労働の価値」を混同しているが、これはマルクス以前の経済学の(混乱した)コンセプトそのもので、「労働力/労働」の区別により確立した「剰余価値(=労働力の価値を越えて生産する価値)」のコンセプトが曖昧になったりしている。
「まんがで読破」ってのは誰でもその雰囲気に触れれるってコンセプトで描かれてるんだろうけど、読者を舐めているんだろうか、あまりにも日常的な感覚での戯れが過ぎている感じがしてならない(「資本論」しか読んでないんだけど)。
マルクスの醍醐味は、事象を科学的な視点から最把握して日常的な感覚から遊離する快楽なのに、それがなされていないのは、マルクスの著書の「扉」としての役割は果たせていない。
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