わあ、どうしよう! 目覚めたら、子どもになっていた。あすは選挙だというのに。でもせっかくだから、子どもの立場になって考えてみた――。
演説では「子育て」っていう言葉がよく聞こえてくる。政治家がこんなに僕らのことを気にしてくれるなんて。一応、ありがとうって言っておく。
日本の政府は子どものために出すお金が先進国の中でも少ないんだとか。うちも学費や塾代でけっこう大変。だからこれからは政府がもっと面倒を見るんだって。大人がみんなで僕らの成長や勉強を支える、ってことだね。
春からは月1万3千円、子ども手当が出るようになった。手当は中学生までだけど、高校の授業料もタダになる。なんだか大盤振る舞いだ。
別に僕の小遣いが増えたわけじゃない。じゃあ母さんたちは喜んだかといえば、そうでもない。共働きしたいのに、都会では小さな弟や妹たちを預ける所が見つからないからなんだ。
だからかな、どの党も「保育所に入れない児童なくします」の合唱。民主党も子ども手当を倍にするのはあきらめて、保育所を増やすんだって。幼稚園といっしょにしちゃうとも言ってるけど、タテワリとかいう変なものが邪魔してやっかいらしい。
うちの子ども手当は結局、貯金に回ってしまった。「大学でお金がたくさんかかるからよ」って。卒業したって働く所があるかも心配だ。社会に出るのがこうも大変だと、子どものうちからため息が出る。ふうっ。
背伸びして政党のチラシを読んでみた。「幼児教育や給食を無料に」「奨学金を充実」。あれもこれもと僕たちを応援するメニューが並んでる。
ほしいものを言い出せば、小遣いがいくらあっても足りないのは、子どもの僕にもわかります。そこんとこ、ちゃんと考えているのかな。将来、国の借金を返す羽目になるのは、僕たちなんだから。
最近急に、大人たちはショーヒゼーとかいうのを上げる上げないって言い出した。ゲームも高くなるの、マジで? それで僕らの未来がどれだけよくなるのかな。父さんにきかなきゃ。
もうひとつ言わせて。
政治家が子育て、子育てって言うのは「少子化対策」のためだって。弟や妹はたくさんいたら楽しいけど、父さん母さんには、そんな余裕もトキメキもなさそうだからね。
でも、ただ子どもが増えればいいのかな。政府が調べたら、子どもの7人に1人は貧しい家庭なんだって。ショックだった。不幸せな子を減らすことにも、力を入れてほしいんだけど。
えっ? 選挙権がないくせに、ナマイキな口をきくなって……。
――あなた、変な夢でも見てたの。さあ、大事な選挙。投票に行くわよ!
ドコに入れるかって真剣に悩んでいる人にとっては、なんともお気楽な社説だなぁ。でも違和感を感じないどころか朝日らしいなぁって腑に落ちちゃうのはなんでだろ。
それはたぶん朝日の社説子が、子供の立場って断りを入れないと自分の思いを語れないほど状況が不条理なんだろう。いっそのことゴキブリやミジンコの立場で語ってくれた方が清々しかったんだろうけど、そこまでいっちゃうと文学か…。
で、なんで子供の立場にならなきゃのいけなかったのか。だって子供なら責任を意識しないで済むから。実際の子供にもそのことを分かって生意気をするのが居て、そういったガキが憎たらしいことといったら、筆舌に尽くせないんだけど、この社説にも同じものを感じた。愚劣!でもだからこそらしさに溢れた懐かしい感じ。
そういえば、野党の立場では好き勝手言えてた某政党も責任ある立場に立ってみると、あの時は「子供」(責任のない立場)だったからって言い出したはずなのにね。
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