29/10/2016

ロラン・バルトかく語りき

 あらゆる神話にはそれなりの歴史と地理がある。歴史と地理は実際、一方が他方の記号であり、神話が熟していくのはそれが広がっていくからにほかならない。神話を社会地理学的に取り上げる本格的研究は、私の能力に余る。しかし、確実に可能なのは・・・広くいわれているところにしたがって社会的地域を画す線を引くことである。こうした地域は遷移するので、神話の移植の波について語っていくべきなのであろう。…神話はためらいをみせることもある。大衆紙や、資産のある郊外生活者の家庭や、美容院や、地下鉄のなかに神話は入り込めるのであろうか。プレスについての分析的社会学が確立されない限り、神話の社会地理学は構想しがたいままになろう。しかし、そのための場所はすでに存在しているといってよい。


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