一昨年、昨年と東京都内で開設された「年越し派遣村」が、この冬は設けられていない。「派遣村」なんて、政局に絡めてメディアと労組が仕掛けたイベントで、政局が変われば見えなくもなるわなぁ。労組だって非正規雇用者や失業者の権利なんて本気で守る気無いだろうし。
企業から突然、解雇を言い渡されるなどして仕事も住まいも失った人たちに、初めはボランティア団体や労組が、昨年は政府や東京都が主体で宿泊場所や食事を提供してきた。
今は、年末年始の対応でなく年間を通じた支援体制を整備するという方針だ。雇い止めにあった人やホームレスの人たちはこの冬、昨年末より2割以上減った。政府や自治体の雇用対策が効果を上げている面はある。
だが、問題が解決したわけではない。有効求人倍率などには改善の兆しが見える一方で、1年以上仕事がない長期失業者は増えている。企業は新規の投資や雇用に慎重だ。
雇用収縮のしわ寄せが、学卒採用はじめ若い人たちに偏りがちな状況も続いている。
自治体の取り組みも、なお不十分だ。元派遣村村長で内閣府参与の湯浅誠さんによると、支援について「ホームレスが来るならやらない」と明言する首長もいるという。生活保護申請が増えると自治体の財政が圧迫される、との警戒感が背景にある。
支援の方法に工夫が問われる面もある。昨年の年越し支援には全国で約8億円を要した。東京都の「官製派遣村」だけで1億8千万円。1人2万円の就職活動費を渡したところ、無断外泊が相次ぐといった問題も起きた。納税者の不信がぬぐえなければ、支援は成り立たない。
それでも、支援なしでは年を越すのが難しい人々はいる。仕事も住まいも失う人に対して、行政には柔軟な対応を求めたい。
派遣村は、立ちすくむ人たちの存在を「見える化」する役目を果たした。再就職に向けた課題がその人の置かれた状況によって異なることも明確になった。それらを今後にどう生かすかも大切なことだ。
肝心なのは、「働きたくても働けない」という状況を長引かせない手だての強化だろう。失業が長引く人の中には多重債務に苦しんだり、うつ状態に陥ったりする例が少なくない。「合併症」が増えるほど、復帰の見通しも立ちにくい。こうした人々には息の長い対策が必要となる。
政府は、雇用保険と生活保護の間をつなぐ第2の社会的安全網として「求職者支援制度」を作る。失業者が職業訓練を受ける間、生活費を給付する仕組みだ。より効果が上がる制度になるよう、年明けの国会で大いに議論してほしい。困窮して自律的な生活が営めない人をマンツーマンで支えるサービスも、さらに充実を望みたい。
「派遣村」は、その課題を社会が通年で共有してこそ意義がある。
越冬闘争はもう何十年もやってるし、もちろん今年もやってるよ。
そしてこの問題はもうずっと言われてきているし、「派遣村」がなくても「見える化」していくのもメディアの務めであると思うんだけどね。
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