
MMXIが2011を表すってことだろうけど。見事なくらいに不自然ですなぁ。
一昨年、昨年と東京都内で開設された「年越し派遣村」が、この冬は設けられていない。「派遣村」なんて、政局に絡めてメディアと労組が仕掛けたイベントで、政局が変われば見えなくもなるわなぁ。労組だって非正規雇用者や失業者の権利なんて本気で守る気無いだろうし。
企業から突然、解雇を言い渡されるなどして仕事も住まいも失った人たちに、初めはボランティア団体や労組が、昨年は政府や東京都が主体で宿泊場所や食事を提供してきた。
今は、年末年始の対応でなく年間を通じた支援体制を整備するという方針だ。雇い止めにあった人やホームレスの人たちはこの冬、昨年末より2割以上減った。政府や自治体の雇用対策が効果を上げている面はある。
だが、問題が解決したわけではない。有効求人倍率などには改善の兆しが見える一方で、1年以上仕事がない長期失業者は増えている。企業は新規の投資や雇用に慎重だ。
雇用収縮のしわ寄せが、学卒採用はじめ若い人たちに偏りがちな状況も続いている。
自治体の取り組みも、なお不十分だ。元派遣村村長で内閣府参与の湯浅誠さんによると、支援について「ホームレスが来るならやらない」と明言する首長もいるという。生活保護申請が増えると自治体の財政が圧迫される、との警戒感が背景にある。
支援の方法に工夫が問われる面もある。昨年の年越し支援には全国で約8億円を要した。東京都の「官製派遣村」だけで1億8千万円。1人2万円の就職活動費を渡したところ、無断外泊が相次ぐといった問題も起きた。納税者の不信がぬぐえなければ、支援は成り立たない。
それでも、支援なしでは年を越すのが難しい人々はいる。仕事も住まいも失う人に対して、行政には柔軟な対応を求めたい。
派遣村は、立ちすくむ人たちの存在を「見える化」する役目を果たした。再就職に向けた課題がその人の置かれた状況によって異なることも明確になった。それらを今後にどう生かすかも大切なことだ。
肝心なのは、「働きたくても働けない」という状況を長引かせない手だての強化だろう。失業が長引く人の中には多重債務に苦しんだり、うつ状態に陥ったりする例が少なくない。「合併症」が増えるほど、復帰の見通しも立ちにくい。こうした人々には息の長い対策が必要となる。
政府は、雇用保険と生活保護の間をつなぐ第2の社会的安全網として「求職者支援制度」を作る。失業者が職業訓練を受ける間、生活費を給付する仕組みだ。より効果が上がる制度になるよう、年明けの国会で大いに議論してほしい。困窮して自律的な生活が営めない人をマンツーマンで支えるサービスも、さらに充実を望みたい。
「派遣村」は、その課題を社会が通年で共有してこそ意義がある。
'10/12/30
低迷する内閣支持率、いっこうに進まない野党との連携。明るい展望を見いだせないまま来年の通常国会が迫る菅政権。失速のきっかけは9月に起きた中国漁船衝突事件だった。政府は船長釈放の判断や対中国外交をめぐり迷走。水面下の動きを検証すると、中国の強硬姿勢に浮足立った首相菅直人が日中関係の極度の悪化を恐れ、事実上の指揮権発動で中国人船長を釈放した経緯が判明。主導権を握っていたのは終始、中国だった。(敬称略、肩書は当時)
「中国と戦争する気か。このままではアジア太平洋経済協力会議(APEC)を開けなくなる。すぐに船長を帰せ」
国連総会が開催される米ニューヨークへの出発を目前に控えた9月19日。船長の即時釈放を要求する中国の強硬姿勢に、菅は冷静さを失い、周囲に怒声を浴びせた。
「首相は一体どうしてしまったのだろう」。取り乱した菅の姿に、官邸スタッフは頭を抱えた。船長の刑事処分について、官房長官仙谷由人は「国内法で粛々と処理」と明言。検察当局も「証拠はそろっている」として起訴する方針だった。菅も了解している―。官邸内ではほぼ共通認識だった。
中国は対日圧力レベルを引き上げる。国連総会に合わせた日中首脳会談見送りも表明。11月に横浜で開かれたAPECに、中国首脳が欠席するという菅にとって「最悪の事態」をちらつかせた。
菅のけんまくに、政府の判断は「釈放」に大きく傾いた。この間、政府内では「法相に指揮権を正式に発動させ、船長を釈放するしかない」との意見も挙がった。仙谷は指揮権発動による政治的混乱を懸念、この手法には二の足を踏んだものの、実態は“首相による指揮権発動”と変わらなかった。
◇ ◇
▽末代までの恥
釈放を迫られた法務省幹部は官邸に泣きついた。「釈放理由に『外交関係に配慮した』という趣旨を入れさせてほしい。それがなければ検察として末代までの恥だ」。検察は起訴に絶対の自信を持っていた。
官邸側はこれを容認。那覇地検は9月24日の記者会見で「日中関係を考慮すると、身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではない」と、異例の「政治的配慮」に言及した。検察当局のせめてもの抵抗だった。
しかし日本側の期待に反し、船長釈放後も中国側に軟化の兆しは見えない。釈放直前、日本の建設会社員4人が中国で拘束されていることが発覚。中国から日本へのレアアース(希土類)輸出停滞も判明した。
焦りの色を深める仙谷ら。事態打開を折衝できる対中人脈は存在しなかった。9月下旬、政府は仙谷名で「漁船衝突事件の処理でお願いしたいことがある」と、要人との接触を求める趣旨のファクスを中国側の複数の人物に送付。苦し紛れの呼び掛けが、逆に中国側に足元を見られる結果になったのは否めない。
▽非礼だ
「民主党政権には対中ルートがないから、こんな手を使うのか」。要人との会談を調整する際、長期間にわたって築いた人間関係がものをいう中国。いかに人脈不足とはいえ、ファクス1枚で会談を申し込む日本側に中国側は「非礼だ」と憤慨。菅外交の底の浅さをさらけ出してしまった。
9月29日、仙谷の「密使」として北京を訪問した民主党前幹事長代理細野豪志は、中国国務委員戴秉国たいへいこくとの会談にこぎ着けた。仙谷の知人で中国通の経営コンサルタント篠原令も同席していた。
細野「漁船衝突事件とは別問題と認識しているが、拘束された日本人4人の処遇はどうなるのか。政治家として気にかかっている」
戴「お気持ちはよく分かる。1人はもう少し取り調べるが、3人は明日釈放します」
余裕の表情で語る戴。言葉どおり、3人は翌日に釈放された。10月9日には残る1人も釈放。関係改善に向けた中国側の「メッセージ」とも読み取れたが、優位に立っていたのは中国だった。
▽外相外し
日本外務省は一貫して蚊帳の外だった。外相前原誠司が「対中強硬派」として中国側から忌避されていることを危ぶんだ仙谷の“差し金”。「外相は了解済みなのか」。細野の北京入りを知った周辺が尋ねると、仙谷は「前原には何も言わなくていい」と言い放った。
11月13日、横浜市の国際会議場。菅はAPEC議長として中国国家主席胡錦濤こきんとうとの会談に臨んだ。9月7日の衝突事件発生から、約2カ月間の混迷を経てたどり着いた「晴れ舞台」。
「心から歓迎する。わが国と中国は一衣帯水(の隣国)だ」。菅は、手元のメモに目を落としながら自信なさげに言葉を連ねた。
政府税制調査会は15日、2011年度税制改正で積み残されていた地球温暖化対策税(環境税)について、11年10月から段階的に導入することを決めた。「コモンズの悲劇」の例を引くまでもないだろう、地球環境に関してフリーライダーでいることは許されなくなっているのは納得出来る。
環境省の試算によると、完全実施される15年度からは、ガソリンや軽油、灯油などの価格上昇により、1世帯当たりの負担は平均で現在より年間1100円増える見通しだ。税制改正の内容が固まったことで、政府は16日、11年度税制改正大綱を閣議決定する。
原油や石炭などの化石燃料に課税している石油石炭税の税率を引き上げ、その上乗せ部分を環境税とする。増税分を地球温暖化対策に充て、完全実施後は年間約2400億円の税収増を見込む。
家庭や企業の急激な負担を和らげるため、上乗せ税率は、11年10月からは完全導入時の3分の1の水準にとどめ、13年4月に3分の2の水準に引き上げ、15年4月から完全実施する。
(2010年12月15日21時17分 読売新聞)
バナナを食べると花粉症が改善される可能性があることが、東京理科大の谷中昭典教授らの動物実験で分かった。
バナナの成分が免疫バランスを改善し、アレルギー症状を抑えるらしい。大津市で開かれた日本機能性食品医用学会で、12日発表した。
谷中教授らは花粉症のマウスに、1日約10グラムのバナナを3週間与え、通常のエサを与えたマウスと比較した。その結果、バナナを食べたマウスは、アレルギーを引き起こす物質の量が通常食のマウスの半分以下に減り、花粉症になると増える白血球の一種「好酸球」の数も、正常マウスと同レベルまで減少していることがわかった。谷中教授は「マウスにとっての約10グラムは人間では3~4本に相当する量だろう。人でも症状が軽くなるかを調べたい」と話している。
(2010年12月14日00時05分 読売新聞)
菅直人首相は12日夜、都内で開かれた自身の後援会会合に出席した。出席者によると、首相はあいさつで「(首相就任から)半年たった。これまでは『仮免許』だったが、これからが本番で、自分の色を出していきたい」と決意を語った。自らの政権運営を自動車運転の「仮免」に例えたような発言は今後、与野党の批判を招く可能性がある。もはや菅さんの発言の内容をどうのこうの言うのは無粋ってもんだ。
一方、首相は今年の漢字として「行(ぎょう)」を選んだことを挙げ、「修行の行、有言実行の行(こう)だ。これからも行という字を大事にしていく」と強調した。会合には民主党の小川敏夫法務副大臣や大河原雅子参院議員、都議や市議ら約500人が出席した。 (2010/12/12-22:37)
2010.12.5 09:06
「ひきこもり」の原因は精神障害か、それとも社会風潮か-。ひきこもり支援のあり方を検討するため、厚生労働省と内閣府がそれぞれ実施した調査で異なる原因分析が提示された。「原因は精神障害」とする厚労省に対し、「原因は生きづらい社会風潮の進行」とする内閣府。関係者の間には困惑が広がっている。
厚労省は5月「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」を発表した。策定責任者の斉藤万比古(かずひこ)・国府台病院精神科部門診療部長によると、ひきこもりは全国推計で約26万世帯にのぼり、専門機関で受診した場合、ほぼ全員に何らかの精神障害がみられたという。原因が精神障害にあるとすれば、国が検討している「障がい者総合福祉法」(仮称)の適用対象となる可能性もあり、NPO法人「全国引きこもりKHJ親の会」の幹部は「背景に精神障害があると示された意味は大きい」とする。
斉藤氏は「従来は社会風潮を原因とする解釈が主流だったが、効果的な支援策が打ち出されてきたとは言い難い。新しいガイドラインは、現実に苦しんでいる人々を支援する指針となることを目指した」と話す。
一方で厚労省のガイドラインについて「『ひきこもりは病気や障害である』との誤解と偏見を広げる」との批判の声もある。NPO法人「ニュースタート事務局」の二神能基(ふたがみ・のうき)代表は「厚労省の調査対象は専門機関で受診した若者だけで、しかも184人と非常に小人数。非科学的で実態とはまったく異なる」と指摘する。
厚労省に対し内閣府は7月「ひきこもりに関する実態調査」を公表した。5千人を対象とした無作為アンケートを実施したところ、「職場問題」「病気」「就職活動失敗」が3大要因だった。内閣府調査で企画・分析の座長を務めた明星大人文学部の高塚雄介教授は「厚労省の調査方法が妥当かどうかは疑問がある。精神障害も一部にあるが、われわれは、スムーズな人間関係を実践できない人を『欠陥品』として放逐するような社会風潮の拡大がひきこもりの主な原因と分析した」と話す。
国の異なる見解について、NPO法人「全国不登校新聞社」の石井志昂(しこう)編集長は「ひきこもりの子を持つ親には『うちの子は病気なのか』『育て方が悪かったのか』などの戸惑いが広がっている。ただ一番の問題は、ひきこもり当事者の多くが求める支援に出合えず、『もういいや』と思ってしまっている点。適切な支援がなされていない証明だ」と指摘している。(小野田雄一)